Julien PASCALジュリアン・パスカル氏は2004年にフランス本土から現在の奥様と一緒にこのニューカレドニアに移住してきました。

彼は農業エンジニアでもありフランスではRoussillon(ルシオン)でワイン研究者として仕事をしていました。

のちに世界で自然と農業に関わる活動を行うために、ニューカレドニアという地に辿りつきました。

 

ニューカレドニアに移住したのち、彼が1番最初に行ったことはバニラ栽培のできる土地を探すことからでした。

そして3年後の2007年にバニラ栽培を自らスタートさせることができるようになりました。

 

 

 

      La Vanille de la karikouié(カリコウイエのバニラ)

 

彼がバニラ栽培の土地に決めた場所はニューカレドニアのPaïta(パイタ)という街の中にあるMont Mou(モン・ムウ)という山中でした。

彼のバニラ「La Vanille de la Haute Karikouié」はモン・ムウの中に流れる川、

Karikouié(カリコウイエ)から名付けられました。

2007年にパスカル氏は自分の土地に702本のバニラ(Vanille Planifolia)の苗を植えました。

その後2009年に最初の花を咲かせ1年後2010年に莢を実らしました。

そして同年の5月に再び918本の苗を植えました。

 

今、現在は80000~90000本のバニラビーンズを生産しており

2013年にはパスカル氏の独自のテクニックによりよい品質の結晶(バニリン)のついた香り高いバニラビーンズを作ることにも成功しています。

                      Ecologie(エコロジー)

バニラ栽培の土地で重要視するポイント

 

★バニラは直射日光を嫌うために影がある場所が必要である。

この場所は1日10~12時間、太陽の日差しが入ってきます。

そのためパスカル氏は現在の場所に自ら遮光ネット張り、これによって50%の日差しをカットすることができます。

★風通しがよい場所

ニューカレドニアは貿易風(アリゼ)があるため風通しがよく莢は乾燥しカビなどを防いでくれます。

    

★雨・湿度

バニラを栽培する上で年間2000~3000mmの雨量が必要であり80%の湿度も重要となってくる。

パスカル氏の土地モン・ムーでは年間1500~2200mmの雨が降り最適な気候条件といえます。

しかしニューカレドニアは10~12月は雨が少ないため水分が少ない時期には取り付けされた自動噴霧装置を使用し常に最適な水分バランスを保っています。

★土の軽さが重要

バニラは湿気が重要ではありますが水はけが悪いとバニラが育たなくなり腐ってしまいます。そのため土や肥料は軽さが必要です。

                      

 

                     (栽培)

つる植物の寿命は長く30mまで太陽に向かって成長していきます。

バニラは収穫するまでに約3年の年月が必要とされています。

花が開花した時に人間の手によって一つ一つ授粉させなければなりません。これは授粉するハチ(ハリナシバチ)がメキシコにしか生息していないためです。また開花時間はわずか約8時間ほどしかないので、その時に授粉させなければ次に花が咲くのは1年後になります。

授粉方法はレニオン島で初めてこの方法を見つけた青年の名前から「Edmond Albius」と名付けられました。

 

通常、授粉後は1か月ほどで莢が出始め,

10cm~24cmまで成長した莢は香りはまだ甘いバニラの匂いはなく見た目は緑色でインゲンのような形をしています。

 

苗は土の中では根を張らず、肥料の中で根を張っていきます。

肥料は松の仲間であるPinという木の樹皮を含めたら数種類のわらを混ぜたものです。

わらはニューカレドニアのタモという小さな町にある牧場から調達してきます。

これらを混ぜた肥料は常に湿気を含んだ状態でありバニラには最適な肥料となります。

 

次は腐敗の進行が遅く丈夫なガヤック(アカシヤ)の木を使い支柱を立てます。

バニラのつるは非常に高くまで成長することができるので、その成長を防止するために支柱の上に横向きでまたガヤックの木を取りつけます。

イメージとしては郵便局のマークのように木を設置します。

つるを高く成長させない理由としては栽培する上で作業がスムーズになることと、栄養が届きやすくなるので莢が大きく成長することができます。

また長く成長したつるは下の図形のように人間の手によって再び肥料の中に入れて支柱に巻き付けて成長させていきます。

こうすることによってバニラのつるはより強くなります。

この作業を年に4~5回行います。

ニューカレドニアではバニラの花の授粉期間は10月~12月中旬までです。

花は日光が必要なので開花時間の5:00AM~3:00PMまでに人間の手によって授粉しなければいけません。

授粉3週間後には莢の成長を確認していきます。

成長した莢は1か所に5~6本のみ残し間引きしていきます。

1本のバニラのつるからはおよそ、このような莢の束が10~15か所実ります。

                                         (バニラの収穫と準備)

 

開花して9~10か月後に成熟した莢を1つ1つ3~4か月かけて少しづつ収穫していきます。

収穫時期は6月~10月頃まで。

収穫する莢の見極めは濃い緑色だった莢がほんの少し薄くなり、光沢もなくなり両サイドに2本のラインが黄色くなった頃が収穫のタイミングとなります。

 

収穫された莢はここからバニラビーンズを作る大事な作業に入ります。

この頃の作業がよいバニラビーンズを作る1番の決め手なります。

まず、莢を鍋の中に入れ65℃のお湯で3分ぐらい茹でます。(サイズによって茹で時間は変わる)

次は乾燥させていきます。

鍋から取り出した莢は一旦シーツに包んで24~48時間じっくり蒸すような状態で熟成発酵させ寝かせます。

その後バニラは茶色に変色し始めていきます。

次に天日干しをしていきます。

新しいシーツに莢を並べて外で天日干しをしていきます。

1日のうち1~2時間(一般的には半日)は太陽の下で乾燥させ屋内にシーツに包んで片付けます。天日干しの時間は少ないですが、シーツで包むことによって常に温度は減少せず蒸された状態で寝かすことができます。この作業を1週間から10日間ゆっくり時間をかけて乾燥・発酵を行ったのち莢は40~50%の水分がなくなりバニラは軽くなりしなやかになっていきます。この時から少しづつバニラの香りが凝縮されていきます。

 

じっくり天日干しを行ったあとは風通しのよい陰の場所で4~10週間かけて乾燥させていきます。

この作業から水分は20~30%なくなります。

                   (仕上げ)

バニラの仕上げの作業に入るときにはまだ20%ほどの水分があります。

色は茶色からこげ茶色に変わっています。

まず莢のサイズ分けをしていきます。

そのあと150~200本をKohuという木で作られた木箱にペーパーに包み入れて再び乾燥させていきます。

毎週1回は木箱の中を確認し、この作業を2か月行います。

 

この作業でバニラの色は黒になり結晶(バニリン)を作っていきます。

最後はカビがないかを確認したあとに再度サイズ分けを行いバニラビーンズの曲りなどを直して梱包されて

出荷となります。

 

収穫から出荷されるまでは9か月という年月を要します。

とても長いですが、ゆっくり熟成・乾燥発酵させることにより香りが高いバニラビーンズを作ることができます。